成田山の見どころ
成田山新勝寺の参道を歩いていくと、最初に目に飛び込んでくるのが堂々たる「総門(そうもん)」。総高約15メートルの荘厳な楼門は、参道と境内をつなぐ”聖なる入口”です。十二支の彫刻・生まれ本尊・世界最古の会社による大工仕事など、知れば知るほど奥深い総門の魅力をご紹介します。
▼ この記事の目次
総門の基本情報
まず総門の基本的な情報を押さえておきましょう。成田山新勝寺の「顔」ともいえるこの門は、2008年(平成20年)に建立されたばかりの比較的新しい建造物です。
| 名称 | 総門(そうもん) |
|---|---|
| 建立年 | 2008年(平成20年)/成田山1070年祭記念 |
| 総高 | 約15メートル |
| 建築様式 | 五間三戸・十二脚楼門(総欅造り) |
| 屋根 | 銅瓦葺・入母屋造・軒唐破風付 |
| 施工 | 大林組(総合建設)/金剛組(宮大工) |
| 彫刻担当 | 3名の彫工による合作 |
| 楼上安置 | 生まれ本尊の八体仏 |
| 場所 | 成田山参道(表参道)終点・境内入口 |
総門の建立の歴史
成田山新勝寺の総門は、2008年(平成20年)、成田山の1070年大祭を記念して建立されました。「開かれた庶民のお寺・成田山」と参道門前町をつなぐ担い手として、その役割が込められています。
成田山の創建は940年(天慶3年)。それから1,000年以上の長い歴史の中で、現在のような大規模な「総門」が正式に設けられたのは実は比較的最近のことです。以前は参道から仁王門へとそのままつながっていましたが、1070年祭を契機に荘厳な楼門として整備されました。
成田山が開山した940年から数えて1070年の節目を記念した大規模な法要行事。この記念事業の一環として総門が建立され、成田山の「表玄関」としての威容が整えられました。
総門の造り・建築様式
総門の建築様式は「五間三戸の十二脚楼門(ごけんさんこのじゅうにきゃくろうもん)」。難しく聞こえますが、簡単にいうと「正面に5つの柱間があり、そのうち中央3間が通路になっている、2階建ての立派な門」です。
素材は総欅造り(そうけやきづくり)。屋根は銅瓦葺の入母屋造で、正面・背面ともに軒唐破風(のきからはふ)が設けられ、正面中央には「成田山」と書かれた扁額が掲げられています。
注目したい細部の意匠
柱の頭貫(かしらぬき)には唐獅子の頭の彫刻が施されており、迫力ある表情が印象的です。また、柱上の組物は二手先の出組、上層は和様の尾垂木三手先の詰組と、伝統的な宮大工の技術が随所に光ります。内部の天井は小組の格天井(こぐみのごうてんじょう)で、格調高い造りになっています。
コラム|唐破風(からはふ)って何?
唐破風とは、屋根の先端に設けられた曲線状の装飾的な破風のこと。上に丸く膨らんで左右が反り上がる優美な形が特徴で、寺社建築に格式と華やかさを添えます。総門の唐破風は正面・背面の両方に設けられ、どちらから眺めても美しい姿を見せます。
蟇股に刻まれた十二支の彫刻
総門の見どころのひとつが、欄間(らんま)部分に相当する蟇股(かえるまた)に施された十二支の木彫刻です。子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の12体が、それぞれ丁寧に彫り込まれています。
参拝の際はぜひ自分の干支を探してみてください。じっくり眺めると、彫工3名それぞれの個性や微妙な違いが感じられるのも面白い点です。
総門の柱頭などに配された16体の獅子頭。実はそれぞれに「阿形(あぎょう)」と「吽形(うんぎょう)」の区別があります。口を開いた阿形と口を閉じた吽形——じっくり見比べると、微妙な表情の違いに気づくはずです。
楼上に安置される「生まれ本尊(八体仏)」
総門の2階部分(楼上)には、「生まれ本尊の八体仏(はったいぶつ)」が奉安されています。これは干支(十二支)を8つに分類し、それぞれに対応する守り本尊を8体の仏様として祀ったもの。総門をくぐることで、すべての生まれ年の守り本尊に見守っていただけるという意味合いがあります。
| 子(ね) | 千手観音菩薩 |
|---|---|
| 丑・寅(うし・とら) | 虚空蔵菩薩 |
| 卯(う) | 文殊菩薩 |
| 辰・巳(たつ・み) | 普賢菩薩 |
| 午(うま) | 勢至菩薩 |
| 未・申(ひつじ・さる) | 大日如来 |
| 酉(とり) | 不動明王 |
| 戌・亥(いぬ・い) | 阿弥陀如来 |
不動明王は「酉年」の守り本尊でもあります。成田山の御本尊・不動明王がこの中に含まれていることも、総門の特別な意味を感じさせます。
世界最古の会社・金剛組が手がけた総門
総門の総合建設は大林組が担当しましたが、欅材を用いた宮大工仕事を手がけたのは「金剛組(こんごうぐみ)」の棟梁たちです。
金剛組は578年(飛鳥時代)に創業した、世界最古の会社として知られる宮大工の組織です。大阪市天王寺の四天王寺建立のために来日した宮大工・金剛重光氏が起こしたとされ、1,400年以上にわたって寺社建築を支えてきた歴史を持ちます。
コラム|金剛組と世界最古の会社
日本には金剛組のほかにも、慶雲館(705年・山梨県)、西山温泉 古まん(717年・兵庫県)、善吾楼(718年・石川県)など、創業から1,000年以上の老舗が複数存在します。その中でも飛鳥時代創業の金剛組は別格の存在。成田山の総門は、そんな世界有数の職人集団の技術の結晶でもあります。
総門周辺の見どころ
総門をくぐると、そこからはいよいよ成田山新勝寺の境内。急な石段を登った先には次の見どころが待っています。
① 仁王門(重要文化財)
総門の先の石段を登るとすぐに姿を現す仁王門は、1830年(文政13年)造営の国指定重要文化財。巨大な提灯と力強い仁王像が参拝者を出迎えます。欄間の彫刻も見事で、故事を題材にした精緻な作品が並んでいます。
② 総門広場(憩いの場)
総門前に広がる広場は参拝者の憩いの場となっています。毎月28日のご縁日には「成田山開運不動市(骨董市)」が開催され、掘り出し物探しを楽しむ人々で賑わいます。
③ 表参道(約800m)
総門に向かってのびる約800メートルの表参道には、うなぎの老舗・漬物屋・揚げ饅頭店など成田名物のグルメが集結。参拝の前後に食べ歩きを楽しんでいきましょう。
まとめ
成田山新勝寺の総門は、2008年の1070年祭を記念して建立された総欅造りの楼門です。総高約15メートルの荘厳な姿は参拝者を迎える”聖なる入口”として機能し、蟇股の十二支彫刻・楼上の八体仏・世界最古の会社・金剛組の匠の技など、見どころが凝縮された建物です。
参拝の際はぜひ足を止めて、自分の干支の彫刻を探したり、獅子頭の阿吽の表情の違いを観察してみてください。急いで通り過ぎてしまうには、あまりにも惜しい魅力が詰まっています。
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